うどん、お好み焼き、ラーメン…。日本人の大好物の周辺で、妙な動きが起きている。料理の核となる麺やご飯などの炭水化物を控えようとする現象が全国に広がっているのだ。背景には、数年前から国内で広がり始めた新型健康法「糖質制限」がある。

香川・丸亀の妙
「うどん県だけど うどんばかり食べないで」

「うどん県」を名乗る香川県。糖尿病患者の多さが悩みのタネだ(写真=2点:アフロ)

 香川県は、安倍政権が進める地方創生政策の優等生的存在だ。2015年の県外観光客入り込み数は約920万人と3年連続で900万人台を突破。瀬戸大橋が開通した1988年(1035万人)に次ぐ史上2位の数字を記録した。

 面積1862平方キロメートルと日本最小の県が多くの人を引き寄せるのは、何と言っても「うどん」というキラーコンテンツがあるからだ。

 香川県が「うどん県」を自称し、讃岐うどんを前面に出した広報活動を本格化したのは2011年。試みは成功し、「讃岐うどんファン」は海外まで広がりつつある。県内には専門店が軒を連ね、2015年の県の観光客動態調査報告では、観光客の36.8%が旅の目的を「讃岐うどんを食べるため」と回答した(訪問の理由1位)。

 そんな「うどん県」が今、足元で揺れている。

「野菜を食べろと言われても…」

 「せっかくみな、うどんで盛り上がっとるのに、何を妙なことをしよるんかのう」。県内有数のうどん専門店集積地、丸亀市内。香川県が配布した「ヘルシーうどん店マップ」を見ながらタクシー運転手はこう話す。

 県が2012年から3回にわたって作成してきた冊子で、野菜の天ぷらなどうどん以外のメニューが充実した店を「推奨店」として掲載。見方によっては、まるで、ヘルシーなうどん店とそうでない店があるかの印象だ。

 「県がしている妙なこと」は、他にもある。うどん店を直接回り、やはりうどん以外のメニューの充実を要請。うどん店で客に野菜を配る活動なども実施し、呼びかけに応え、緑黄色野菜を使った「野菜うどん」をメニューに加える店も現れた。

 いずれも「従来型のうどんを控えろ」と県民に訴えているわけではない。だが、あるうどん店の常連客は「食べるなと言うのと一緒」と話す。

 香川県人のうどん好きは他県の比ではなく、高松市の1世帯当たりの年間うどん消費額は1万4507円と全国1位で、平均(5855円)を大きく上回る(総務省家計調査、2人以上の世帯、2013~15年平均、そば含む)。ここまで摂取量が多いのは、「人によっては週3~4回」という頻度もさることながら、食べ方が違うからだ。

 地元の人々にとって、うどんと聞いてまず連想するのは、かけうどん。せいぜい釜玉にするか(卵を落とす)、天ぷらなどを付け合せる程度で、1玉、2玉とうどんばかりを食べるのが讃岐流なのだ。

 「うどん屋でうどん以外のものを食べよと言うなら、そりゃうどんを食べる量は減るわい。それにメニューを増やせば他の県のうどん屋と変わらん。せっかくの『うどん県』もブレかねんで」(常連客)