相次ぐ鉄道内の顧客トラブル。中でも自殺による遅延は企業活動にも大きな影響を与える。代替輸送から車両の補修までの莫大な損害を、鉄道会社は遺族にどう請求しているのか。その過程からは、日本における企業裁判の動かしがたい一つの現実が見えてくる。

通勤ラッシュと鉄道事故が重なると、多くの乗客に影響が出る(写真はイメージ)(写真=左:ooyoo/Getty Images、右:菅野 勝男)
都内だけでも連日、鉄道トラブルが発生
2017年
10月20日
JR総武線・小岩~新小岩駅間で男性がはねられ帰宅ラッシュを直撃
10月2日 西武池袋線・ひばりケ丘駅で特急「レッドアロー号」に男性がはねられ死亡
9月27日 JR中央線・武蔵小金井駅で男性がはねられ4万5000人に影響
9月24日 東海道新幹線・新横浜~品川駅間で乗客のタブレットが発熱。テーブルが焦げ、緊急停止
9月14日 JR総武線・新小岩駅で午前0時すぎに男性がはねられ終電が大幅に遅延

 JR総武線に「新・自殺の名所」と揶揄される駅がある。東京・錦糸町駅から快速で1駅隣の新小岩駅だ。

 2011年度からの6年間で駅周辺において発生した人身事故は39件。今年も既に7件起きており、17年10月20日夕方にも、駅の北400m先にある陸橋の近くで普通電車に男性が飛び込む事件が発生した。約1時間、運転を見合わせる事態に陥り、特急2本を含む43本が運休。約6万8000人に影響し、帰宅ラッシュの足並みが乱れた。

 「団体予約がキャンセルされ、その日の売り上げはパー。たまにならともかく、こう頻繁に起きては店の運営に支障が出かねない」。駅周辺で居酒屋を経営するA氏は諦め顔でこう話す。