遠隔から乗っとられて140万台リコール──。自動車業界に衝撃が走った。「サイバー無策」なのはクルマも同じだ。開発プロセスそのものが変わる。

2015年8月5日、自動車業界に衝撃を与える事件が米国で“実演”された。
世界的なサイバーセキュリティーイベント「ブラックハット」で壇上に立った2人の研究者が発表したのは、クルマをハッキングする具体的な方法だった。標的になったのは、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)のSUV(多目的スポーツ車)「ジープチェロキー」だ。
2人はチェロキーに搭載された専用無線回線「Uコネクト」にセキュリティーの穴を発見した。その“穴”から不正な命令を送り、クルマのシステムを制圧。そしてパソコンを使って、ハンドルからブレーキ、車載ディスプレーに至るまで全てを操作する手法を公開した。実際に事故は起こっていないが、「クルマの乗っ取り」が現実のものとなった。
Powered by リゾーム?