それまで顕在化していなかった課題が事業規模の拡大に伴い次々に浮上している。リートの活用やブランド戦略の導入のほか、フラットな働き方にも工夫を加える。

 運営特化に試練

リートに主力施設を移す決断

 星野佳路氏のトップ就任以来、一直線に進んできたとみられがちな星野リゾートだが、必ずしもそう言えない面がある。運営する施設のなかには、オーナー企業の意向で契約を満了するケースがあるからだ。

 現在運営する施設数が37カ所であるのに対し、これまでに7カ所の運営から手を引いている。その結果、例えばかつて運営した「リゾナーレ西表島」(沖縄県竹富町)の場合、所有するユニマットグループがいったん星野リゾートに運営を任せた後、再び同グループの運営に切り替えた。

運営を終了した施設は7カ所
●かつて星野リゾートが運営した旅館・ホテル
運営を終了した施設は7カ所<br /><small>●かつて星野リゾートが運営した旅館・ホテル</small>

 運営を離れた理由は施設ごとに違う。オーナー企業との運営条件をめぐる考え方の違いのほか星野リゾートのブランドに本格的に組み込まれることを嫌ったケースもあるとされる。運営を継続できるかどうかはオーナー次第、というリスクが浮き彫りになった。

リーマンショックが転機

 2008年のリーマンショックからしばらくは旅館やホテルの投資家が一斉に手を引いた。投資家と合意したことが実現されなかったり、売られる施設もあった。「自然災害なら観光客が減少するが、リーマンショックは海外の投資の世界の話で本来、日本の観光に関係がない。それが影響を与えるのはこの産業にとってマイナス」とみた星野氏は、長期的な視点で投資してもらう方法を模索するようになった。

 所有と運営の分離が直面した課題に対して星野氏は次の手を打つ。それが13年の星野リゾート・リート投資法人の東京証券取引所上場だ。リート(REIT)は不動産投資信託で、投資家から資金を集めて不動産に投資し、得られた利益を分配する。星野リゾート・リート投資法人の場合、星野リゾートから賃料などを受け取り、利益を投資家に配分する。所有がリート投資法人の場合、個別のオーナー企業に比べて経営に口出しされることが少ないことなどから、長期的な視点で臨みやすい。

オーナーの動向に左右されるリスクを軽減
●リート投資法人を設立後の、所有と経営の分離
オーナーの動向に左右されるリスクを軽減<br /><small>●リート投資法人を設立後の、所有と経営の分離</small>
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米国のホテルリートに比べて小規模
●主なホテルリートとの規模比較
米国のホテルリートに比べて小規模<br /><small>●主なホテルリートとの規模比較</small>
注:みずほ証券の大畠陽介氏作成、2018年7月31日時点。星野リゾート・リート投資法人分は編集部で追加
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