老舗の4代目はなぜ家業を全国的な旅館・ホテルの運営会社へと導けたのか。そのプロセスをひもとくと、トップダウンとは違う新しい経営を模索した姿が浮かぶ。

取扱高は12年で3.6倍に成長
●星野リゾートの取扱高と社員数の推移
注:社員数は各年の12月1日時点

 星野リゾートが施設運営によって得る取扱高は2017年11月期で509億円と、データを公開している12年前に比べ3.6倍に増えている。社員数も9年で倍増した。国内外37カ所の施設を運営し、高級リゾートの「星のや」、温泉旅館の「界」など多様なブランドを持つ。一時は経営が行き詰まった施設の再生が目立ったが、最近は旅館やホテルの新設が増えている。バブル経済崩壊後のリゾート不振期も着実に成長を続けたが、それには訳がある。

 創業は1904年。星野佳路代表の曽祖父が軽井沢で温泉旅館事業を立ち上げた。2代目の祖父は多くの文化人と交流したことで知られる。3代目の父は佳路氏と同じ米コーネル大のホテル経営大学院で学び、白馬の馬車を使う結婚式を発案して業績は堅調だった。

 中学から大学まで慶応に通った星野氏は卒業後、米国留学を経て日本航空開発(現オークラニッコーホテルマネジメント)に入社。89年に軽井沢の家業(写真右下は当時の施設)に戻った。