12年前、2004年5月に本誌は日本電産の特集を掲載した。タイトルは「日本電産 永守重信の人間改造力」。その1年前には、人物ものコラムで永守を描いた。こちらは「無理を道理に変える“夢想家”」である。

イタリアの子会社を視察する永守社長

 1990年代半ばから永守が手掛けたM&Aは、ほとんどが破綻寸前の日本企業を買収して再建し、日本電産の血肉とするというものだった。永守はあらゆる現場に赴いて徹底したコスト削減を断行し、営業や生産体制をゼロから見直した。

 例えば2003年10月に買収した三協精機製作所(現・日本電産サンキョー)。買収前まで売上高の90~95%に上っていた総経費(単独)を、一気に80%台に引き下げた。粗利率は2002年度の4.5%から2004年度には15%に急上昇し、業績はV字回復を果たした。

 だが、永守が本当に手を砕いたのは特集のタイトルにもあった「人を変える」ことだった。

 彼は常に言う。「社員の士気の高さこそ企業の強さだ」と。

 「自分は、この会社はこの程度」「環境が厳しいから仕方ない」…。そんな人の心の限界を取り払えば、高い売り上げと利益成長は成し遂げられる。そう考え、実践してきた。