AI労働者に聖域はない

AIの進化は生産性の高い職業への移行を迫る
●将来コンピューターが代行できる確率の低い職業ランキング
出所:THE FUTURE OF EMPLOYMENT:HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?

 54%の票を得た人側が勝ったが、AI側のCMで「買いたくなった」と回答した投票者は9割を超えた。AI-CDβは過去のCMから人が抽出したキーワードを基にコンセプトを考察する簡易な仕組みだが「固定観念の枠がなく、自分たちでは思いつけない発想をする」とチームのプランナー、折茂彰弘氏は話す。

 英オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授がAIやロボットで自動化される職業を占った論文「雇用の未来」を発表してから3年。AIやロボットに置き換わりにくいとされた創造性の高い仕事ですら、技術の発展により聖域ではなくなっていく。

 日産自動車もAIに多数の車の写真を読み込ませ、新たなカーデザインを生む実験を手掛けている。「AIは決められた作業や受け答えだけでなく、創造する立場になる」と同社総合研究所の上田哲郎・主管研究員は話す。

 AIが人の知的能力を凌駕するシンギュラリティー時代は20~30年後とも言われるが、既に人の仕事をAIに置き換える動きは始まっている。

 パソナグループの中核子会社、パソナは昨秋、経費精算を支援するAIの実験を始めた。受託した精算業務のうち、顧客企業の社員が申請した交通費に誤りがないかチェックする作業をAIに任せ、社員はAIがチェックしきれない複雑な経路の交通費だけを調べる。

 パソナはAI導入で負担が減った社員に2~3カ月の研修を実施。AIの基本を学ばせ、AIがどんな経路でもチェックできるよう、アルゴリズムの改善作業に当たらせている。単純作業に当たっていた労働力がAIを生み出すプログラマーに変わった。「AIの進化に合わせ、生産性の高い仕事に労働力を移す取り組みを続けていく」(佐藤スコット社長)。