地域水準を超える高待遇

(写真=朝日新聞社)

 2016年4月、米国発の会員制量販店「コストコ」が宮城県富谷倉庫店を出店。その際、同県の最低賃金の748円を大きく上回る高待遇でアルバイトを募集したことが注目を集めた。

 小売業では地域の水準を踏まえて賃金を設定するのが一般的だ。ところが、コストコは首都圏でも地方でも、全国一律で最低時給1150円、90日後には1250円という内容で募集しているのだ。

ケン・テリオ日本支社長(写真=新関 雅士)

 理由をコストコホールセールジャパンのケン・テリオ日本支社長に聞いた。

 「従業員にとってフェアでシンプルだから。長く働いてもらってキャリアアップを果たしてもらえば、一人ひとりの生産性が向上する」と明快な答えが返ってきた。給与や福利厚生については年2回の市場調査のほか、新聞や雑誌記事にも常に目を光らせるという。「常に他社を上回る給与と福利厚生を提供する」(テリオ日本支社長)。

 1999年の日本進出から17年。コストコの店舗数は25店、従業員数は8590人に拡大した。社員とパートの時給をそろえているが、「同一労働同一賃金ではない」と人事責任者の中川裕子氏は説明する。「正社員はどうしても責任や業務負担が重くなる。その部分は賞与に当たる臨時手当や福利厚生を手厚くするなどで報いる」(同)。

パート社員もフェアに扱い業容拡大
●コストコホールセールジャパンの従業員数と店舗数の推移

 イケアやコストコがこうした賃金体系を導入できたのは、職務内容と給与をひも付けているためだ。年功序列的な考え方が一般的な日本では導入は難しいと考える人もいるだろう。

 だが、同一労働同一賃金の考え方を取り入れている大企業が、既に日本にある。りそな銀行などを傘下に持つりそなホールディングスだ。

 2003年、2兆円に迫る公的資金を注入され、事実上国有化された「りそなショック」。給与の大幅カットに耐えかねた男性正社員が大量退職した。