今、顧客を囲い込むには、「再利用せざるを得ない仕組み」を作るしたたかさも必要だが、一世を風靡する「ポイントカード」で、顧客を依存させるには高度な情報分析力が必要だ。より確実で副作用の少ない囲い込みの仕組みは、「平成」より「昭和」にある。

 一風変わったTシャツが、複数のTシャツ専門ネットショップで売られている。「ポイントカード持ってませんTシャツ」だ。その名の通り、胸に「自分がポイントカードを不携帯である旨」を示すロゴあるいは文字が印刷されている。

<b>ネットで販売されている「Tポイントカード持ってません」Tシャツ</b>(写真=スタジオキャスパー)
ネットで販売されている「Tポイントカード持ってません」Tシャツ(写真=スタジオキャスパー)

 価格は約1800円から。カルチュア・コンビニエンス・クラブが展開する「Tポイント」カードの不所持を主張するデザインから、ただ「ポイントカードは持ってない」と書いてあるものまでバリエーションは豊富だ。店によってはトートバッグやパーカーもある。

 断っておくと、コンビニの店員が会計の際にポイントカードの有無を尋ねるのはマニュアルであり、このTシャツを着たところでレジ前での「カードを持っているか否かの確認作業」が省略される保証はない。それでも間違いなく言えることが1つある。「『ポイントカードはお持ちでしょうか』という呼びかけを煩わしく思っている消費者は、企業の想像以上にいる」(某ネットショップオーナー)ということだ。

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