「消費者が本当に喜ぶサービス」を提供するには、顧客の区別も重要だ。自社に利益をもたらす特定のユーザーをあえて特別扱いし、知恵と資源を集中する。そのくらい思い切った手を打たないと、競争力ある囲い込みにはつながらない。

 「アルパイン以外はカーナビじゃない」。千葉県市川市で暮らす自称“マイルドヤンキー”のB氏(33歳)はこう話す。妻、1歳と4歳の子供の4人家族。愛車はトヨタ自動車のミニバン「アルファード HYBRID SR」だ。

 高級車とあって、オプションで最高級純正カーナビ「T-Connect SDナビゲーションシステム」(税抜き価格52万円~)を組み込めるし、販売店装備でより手軽な価格の純正ナビを搭載することもできる。だが、B氏はあえて“ナビレス”で納車し、カー用品店へ行きアルパイン製カーナビを購入した。

 使い勝手は「最高」だという。最も感心するのが「目的地探し」機能だ。何の設定もしていないのに、「周辺」というパネルをタッチするだけで、「セブンイレブン」「マクドナルド」「ガスト」「かっぱ寿司」「ファミリーマート」「ENEOS」「COCO’S」「スシロー」という8施設のロゴだけが出現する。

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