シリコンバレーでは今、調理分野の“KADEN”ベンチャーが相次ぎ産声を上げている。スマホアプリと連動させて温度を管理し、誰でも「おいしい」食事を作れる。AIと半導体技術で味付けし、未開のフロンティアを料理する。

<b>テフォリアでお茶を入れると仕上がりにムラがなくなる。日本では現時点で未発売</b>(写真=竹井 俊晴)
テフォリアでお茶を入れると仕上がりにムラがなくなる。日本では現時点で未発売(写真=竹井 俊晴)

 1690年に創業したお茶とのりの老舗、山本山(東京都中央区)。11代目で米国法人トップの山本奈未氏は悩んでいた。「どうしたら正しい日本茶の入れ方を次の世代に伝えられるだろうか」

 日本茶を「おいしく」入れるのは、実は極めて難しい。熱すぎるお湯に茶葉を浸したり、蒸らす時間が長すぎたりすると、本来の味が失われてしまう。「一口に日本茶といっても様々な種類があり、茶葉によって味の引き出し方はそれぞれ違う」(山本氏)。玉露とほうじ茶では入れ方が異なることは、多くの読者は肌感覚で分かっているだろう。

 9代目山本嘉兵衛氏を祖父に持つ山本氏は、この伝統を多くの人に知ってほしいと考えていた。一方でレシピをただ伝えるだけでは不十分。そんな時に出合ったのが米シリコンバレーのベンチャー、Teforia(テフォリア)だった。

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