国内家電大手がかつての勢いを失う中、ニッチ領域でヒットを生むベンチャーが台頭してきた。多機能化で価格維持を図るのが定石だった業界で、価格破壊の猛者が暴れ出す。米IT大手もAIを武器に参入し、白物家電業界はかつてない大乱戦を迎えている。

汚水は清水と混ざらず掃除機内にも浸入しない(左上)。「第一印象で売れると確信した」と亀井社長(写真=竹井 俊晴)

 あっ、と思ったが時既に遅し。真っ白なカーペットに、黒々としたコーヒーが無情にも広がっていく。急いで布で拭き取ったが、こぼしたコーヒーが大きな染みを作ってしまった──。

 がっくりと肩を落とすようなシーンで活躍するのが、「スイトル」だ。本体のタンクに水を入れて掃除機のホースにつなぎ、電源を入れる。汚れた場所にノズルを当てながら前後に滑らせると、みるみる染みが消えていく。数十秒後にはわずかな湿り気を残してすっかりきれいになった。

 スイトルは掃除機のパワーを利用して、汚れを「吸い取る」装置である。本体内部のターボファンを回転させてノズルから水を噴射。汚れを浮き上がらせたうえで、水と一緒に吸引する。カーペットや布製のソファを“水で丸洗い”できる家電は類を見ない。