消費者取り込んだネットや中古

 消費者の購入場所の変化は、流れに乗った企業の事業拡大をもたらしている。「ZARA」を運営するスペインのインディテックスに続いて、2008年にはスウェーデンのH&Mが日本に進出し、安価なファストファッションが日本を席巻。国内勢ではファーストリテイリング傘下で格安のファストファッションブランド、GU(ジーユー)が好調だ。2015年8月期の売上高は1415億円と前期比31.6%増となった。店舗数も352店舗(2016年5月末時点)と国内ユニクロ店舗数の半数に近づきつつある。

快進撃を続けるスタートトゥデイ
●主な百貨店とアパレルメーカーの時価総額(9月23日終値ベース)

 インターネット企業の成長も目覚ましい。ゾゾタウンを運営するスタートトゥデイは、2016年3月期の売上高が544億2200万円と前年比32.1%増。商品取扱高は1595億円に上り、株価は2013年から5倍となった。時価総額は5600億円を超え、百貨店トップの三越伊勢丹ホールディングスを1000億円以上も上回る。

 全世界で5500万ダウンロードを超えたメルカリも着実に利用者への認知度を上げている。メルカリの出品商品における衣料品の割合は約4割。「利用者の中には、店で新品を選ぶときにメルカリで中古の相場を調べてから買う人も多い」(メルカリの山田進太郎社長)。売ることを前提として新品を買っているというのだ。

買い方も志向も多様化が進む
●日経ビジネスのアンケートから抽出した自由回答

 総務省の家計調査によると、1世帯当たりの「被服・履物」への年間支出額は2000年と比べて3割以上減少した。同時に消費者は「デフレを経て価格が下がり、『あの頃の価格は何だったのか』とメーカーの“嘘”に気付き始めた」(ドイツ証券の風早隆弘シニアアナリスト)。既存のアパレルや百貨店から顧客が離れたのは必然とも言える。

 インターネットを活用した多種多様な新サービスは急速に市場を席巻している。時代が変わった今、「中間層」と十把一絡げで消費者をとらえていては現実を見誤るのかもしれない。

病巣2
生産、丸投げのツケ
中国の縫製工場では、日本向けの衣料品が大量に生産されている

 「そろそろ潮時なのかもしれない」。中国・上海の近郊で日本向け衣料品の縫製工場を経営する加島康太さん(仮名)は最近、日本に戻ることを考えている。中国に来て15年余り。中国人の妻の仕事も順調で、生活の基盤は中国にある。それでも日本に帰ることを考えるのは、縫製のビジネスが厳しさを増しているためだ。

 最盛期は10年ほど前だったという。当時この縫製工場では250人ほどが働いていたが、現在は100人を切る。

 1990年代後半から2000年代にかけて世界の工場の一翼を担ってきた中国の縫製工場は、とりわけ地理的に近い日本のアパレル産業を支えてきた。バブル崩壊後のデフレ環境下で消費者の財布のひもがきつくなる中でも、日本のアパレル産業が成立していたのは、中国の貢献が大きい。

国産は3%しかない
●衣料品の輸入比率
出所:経済産業省「アパレル・サプライチェーン研究会報告書」より
●衣類の輸入国別シェア・トップ10
出所:日本繊維輸入組合