アパレル不振の原因を探ると、簡単には乗り越えられない4つの課題に行き突く。いずれも今に始まった問題ではなく、「売れていた時代」は、放置されていた病巣だ。

中間層が消えた──。百貨店やアパレルメーカーが衣料品不振を語る際に、必ずといっていいほどこの言葉が出る。富裕層でも低所得層でもない「中間層」。彼らはいま「どこ」にいるのか。
「最近はもっぱらZOZOTOWN(ゾゾタウン)」。そう話すのは、東京都在住の市川希恵さん(仮名、35歳)だ。仕事から帰宅すると、衣料のネット通販サイト、ゾゾタウンや中古品を売買するアプリ「メルカリ」で洋服を見る。帰宅時間は毎日午後10時頃。仕事後に、駅ビルに寄る時間はない。
土日も買い物には行かない。最後に百貨店に行ったのはお正月の初売りだ。休日は、友人とライブに行ったり、1人で美術館に行ったりする方を優先する。「ライブや美術鑑賞はネットでは代替できないので」。洋服の購入はもはや「ネットで代替できるもの」になっている。毎年新しいものを着なくてはという概念もない。「2年以上前に購入した服を着ることに何も抵抗はない。むしろ、良いものや気に入ったものなら、長く着たい」。
25歳のベンチャー企業勤務の佐々木玲奈さん(仮名)も、洋服の購入は隙間時間で済ませる。「電車に乗って目の前に座った人の洋服がいいなと思った瞬間に、ゾゾタウンで探してその場でスマホで買うこともある」。
この2人の女性の消費動向は、極端なものではない。日経ビジネスのアンケートでも、変化が如実に表れた。購入場所が、10年前と比べて「変わった」「やや変わった」と回答したのは全体の約8割。内訳を見ると、ファストファッションやゾゾタウンなどで増加傾向が見て取れる。百貨店や複合施設での購入が「増えた」と回答しているのは35.9%と多く見えるが、10年前に10代だった20代が48.1%と突出して高く、数字を押し上げているにすぎない。





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