企業はたくさんの会社と取引しながら自らを成長させていく。その土台となる「エコシステム(生態系)」を解剖していこう。

 東日本大震災が発生した2011年。この年を表す漢字は「絆」だった。あれから7年。日本企業の「絆」はどう変わったか。日経ビジネスは、全国147万社の企業データを持つ帝国データバンクと共同でこれを明らかにしようと試みた。同社は一橋大学と研究所を設立し、日本の産業構造の実証分析を進めている。

 まず大企業と、関連する取引先企業が構成する「エコシステム」の規模や成長力をデータ化し、その“中身”の変化を分析した。国内80万の企業の取引先(仕入れ先・販売先)データを基に取引額を推定し、企業間の関係性の強さを測る独自のアルゴリズムを使ってエコシステムの全貌を浮かび上がらせた。

2012➡17年の大手と各社のエコシステムの成長率
エコシステムとは中心となる大企業に対して、部品やサービスを販売するなどの取引関係を持つ企業群のこと。間接的に取引する企業も含む。調査概要帝国データバンクが持つ調査データのうち、「仕入れ先」「得意先」が分かる80万社の取引関係590万を基に作成した。東京工業大学の高安美佐子研究室と共同開発した手法で取引額を推計。中心企業との取引額・関係が一定程度、業績に影響する企業をエコシステム構成企業として抽出した。持ち株会社化した企業は主要事業会社のデータを使用した。

 日本経済は今、戦後2番目の長期拡大が続く。大手企業の多くは業績を伸ばしているが、それぞれのエコシステムも連動して成長しているのか。すなわち、大手がもうかれば、関連企業にも恩恵が行き渡るという「トリクルダウン理論」の現実はどうなのか。上のチャートは、そのヒントになる。縦軸は中心となる大手の売上高の伸び、横軸はエコシステム内企業の平均の売上高の伸びを示す。いずれも12年から17年までの変化で、企業規模や業種による差異を踏まえ、売上高には従業員1人当たりの値を使った。