岩屋 毅氏<br><span>自民党衆院議員</span>
岩屋 毅氏
自民党衆院議員
大分県議を経て、1990年衆院議員に初当選。党国防部会長を務めるなど、「国防族」の論客として安全保障論議をけん引。(写真=陶山 勉)

 平和は唱えるだけでは実現しない。維持する努力が欠かせない。近隣諸国との間で軍事力にあまりに大きな格差が生じれば、アンバランス自体が不安定要因となって危機を生みかねない。防衛体制や防衛技術が戦争や紛争を抑止するのに役立つことを理解してほしい。

 その担い手となる防衛産業は日本の抑止力を構成する極めて重要な要素だ。優れた技術を持つ中小企業が存在し、裾野も広い。随意契約や長期契約を良い意味で活用し、この基盤をしっかりと維持すべきだ。

 防衛装備移転三原則を閣議決定したからといって、海外移転を急激に進めるわけではない。その都度、慎重に判断する。各国との防衛協力関係が重層的に積み上がっていくことで、日本の平和が確かなものになる。一つひとつ、丁寧に実績を積み重ねるしかない。

 コストは増大しており、主要装備の開発を自国だけで賄うことはできなくなっている。防衛産業を維持すべく、国産化の視点も大事にしながら、同盟国や友好国との共同開発・生産に積極的に取り組むべきだ。

 国際共同開発で主導権を握るには、自国に十分な技術力があることが前提となる。研究開発を促進するための政策をこれまで以上に強化することが重要だ。優れた防衛技術は民生品の開発にも良い影響を及ぼす。国民生活にも貢献できる。

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