人口が縮小する以上、成熟は避けられない。財政破綻もいつ起きるか分からない──。そんな一般的悲観論とは全く異なる、国内経済の「明るい未来図」を描く専門家、企業が増えている。なぜ、人が減っても、経済が縮小均衡に陥らないのか。その根拠を徹底分析する。

 2016年7月、千葉県流山市で着工した物流施設が話題を呼んでいる。大和ハウス工業が手掛ける「DPL流山」。注目されているのはその大きさだ。3棟で構成され、総延べ床面積は約38万7000平方メートル。東京ドーム8.2個分の広さは物流施設として国内最大級となる。

 「DPL流山」以外にも、同社は物流施設の増強を急ピッチで進めている。圏央道や外環道など首都圏を取り囲む形で次々に施設を建てており、関東だけで完成済みあるいは建設中の施設は130を超える。2017年3月期~2019年3月期の3年間でグループ全体の投資額の3分の1強、約3600億円を国内物流施設に投じる。過去最大級の額だ。

 「なぜ理屈に合わないことをするのか」。そう思う人もいるだろう。確かに、世間で信じられている悲観論「日本経済は縮小均衡に陥り企業は海外に活路を見いだすしかない」が正しければ、大和ハウスの動きは理にかなっていない。

今さら国内で大型投資の狙い

 高齢化で日々の買い物がままならない「買い物難民」が増え、ネット通販の需要が高まるから物流ニーズが高まる、という側面はある。とはいえ何と言っても、日本は今から人口が急減していく“高齢国”。2060年には人口は現在の3割減である8700万人まで減り、総人口に占める65歳以上の比率は40%に達する(国立社会保障・人口問題研究所調べ)。「同じ投資をするなら成長余地のある海外の方が、費用対効果が高い」という見方の方が合理的に映る。

 ところが“理屈に合わない”動きをしているのは大和ハウスだけではない。

 2027年度。東京駅・日本橋口前に、地上61階、高さ約390mの巨大な複合ビルが完成する。現在、国内で最も高い「あべのハルカス」(300m)を3割も上回る「高さ日本一のビル」だ。

 開発主体は三菱地所。駅周辺の「常盤橋街区」再開発の目玉となる物件だ。地上37階、高さ約230mのビルもあり、合わせて4棟が2027年度にかけて順次完成する。周辺の再開発を含めた総事業費は1兆円程度に上る見通しだ。

 今後、東京への一極集中が予想されるだけに、それなりの費用対効果は望めるはず。ただ、縮小均衡に陥る国に大型投資をするなら、やはり海外に打って出た方がいいという考え方もある。

 大和ハウスと三菱地所は、時代の流れを読み間違っているのだろうか。

 「全く読み間違っていない。国内経済は今から成長していくのだから、物流施設も大型複合ビルも当然必要」。シンクタンク、EY総合研究所シニアエコノミストの鈴木将之氏はこう話す。

 同様の「明るい国内経済」を予測する専門家は鈴木氏だけではない。米国の経済戦略研究所のクライド・プレストウィッツ所長も「日本経済はこれから成長する」と主張するエコノミストの一人。「明治維新、第2次世界大戦後の復興に続く、第3の復活を遂げる」と予想を掲げ、昨年米国で話題を呼んだ。このほかにも、京都大学大学院教授の藤井聡氏や嘉悦大学教授の高橋洋一氏など、日本経済の底堅さや財政の健全さを主張する専門家が増えている。

 大和ハウスも三菱地所も、こうした専門家同様、国内経済の先行きを堅調と見ているからこそ、大型投資に踏み切った。「冷蔵設備を持つ物流施設などへの取引先企業のニーズは今後ますます高まる」と話すのは大和ハウス幹部。三菱地所首脳も「新たな街づくりへの需要は中長期的に維持される」と話す。

 国内経済の明るい未来を予測する専門家の多くは主に4つの認識を持つ。

①人が減っても、国内需要は減らない
②人が減っても、地方衰退は進まない
③人が減っても、生産力は落ちない
④日本の財政難は解決したも同然

 以降、1つずつ検証していこう。

予測2
日本経済はこれから先も成長する!

大和ハウス工業は千葉県に国内最大級の物流施設を建てる
三菱地所も東京駅前の「高さ日本一ビル」を軸に再開発を強化する
日本の現状
少子高齢化 人口は7年連続で減少。高齢化率は25%を突破
経済・産業 アベノミクスで円安・株高が進んだが英EU離脱の影響などで円高・株安に
社会 総人口が減る一方で、首都圏の人口は増えている
普通の会社が描く
日本の未来
少子高齢化 傾向変わらず。消費活動が減り経済は停滞
経済・産業 海外で生産や投資が増え国内は空洞化。高齢化で生産力も低下
社会 東京一極集中が進み、地方の衰退が加速
⇒ 国内経済はこのまま衰退の一途をたどる
明るい未来予測
一発逆転シナリオ
少子高齢化 2060年には40%に増える高齢者の消費活動が活発に。日本全体の5割を占める
経済・産業 ロボットで人手不足をカバーし生産力は低下しない
社会 IoTやAIの進化で地方に高収益企業が増え、地元を支える
⇒ 2060年に人口3割減、高齢化率4割超でも成長できる!