ノルウェーの取り組みは、日本漁業復活のヒントになる。ただし、漁業経営体の規模と数、行政の統率力など環境が大きく異なり、単純にはまねできない。日本流の成長には「独裁者がけん引し、社会主義で獲り、自由競争で流通させる」ことが必要だ。

約20人の漁師を束ねる女性社長、坪内知佳さん(左)は社員から「独裁者」と呼ばれる(写真=中西 ゆき乃)

 対馬海流が形成するサバやイカの好漁場をもつ山口県萩市。この街には漁師から「独裁者」と呼ばれる女性がいる。

 8月上旬のある朝、独裁者は港に似合わぬ黒スーツ姿でハイヒールをカツカツ鳴らし、沖合船団の「萩大島船団丸」の帰港を出迎えた。「ええ顔しとるね!」。声をかけられると夜通しの漁で寝ぼけ眼の漁師も背筋を正す。船団長の長岡秀洋は「彼女の指示には『はい』か『イエス』しか許されない」と複雑そうに笑みを浮かべる。