温暖化の被害者と訴える漁業者、国際情勢が悪いと主張する漁協、海外勢の乱獲だと非難する水産庁。責任を他者に転嫁している間に、座視してきた2つの時代変化で日本は漁業後進国となった。1977年の200カイリ時代後に始まった漁獲競争、そして近年の資源危機時代における国際協調だ。

<b>低水準が続くサンマ漁。水産庁によると今年も過去最低を更新する見通し</b>(写真=読売新聞/アフロ)
低水準が続くサンマ漁。水産庁によると今年も過去最低を更新する見通し(写真=読売新聞/アフロ)

 「日本は漁場争いに負けた。漁業でも敗戦国になったんだよ」。北海道の釧路沖でサンマ漁を営む中型船の船長、安藤真一がぽつりと漏らした。

 今年もサンマ漁がシーズンを迎えた。7月に小型船の漁が解禁となったが、漁獲量はわずか3トン強と10年前の500分の1まで減った。8月に始まった200トン以下の中型船も「期待はできねえ」(安藤)。サンマの漁獲量は過去最低の前年をさらに下回ると水産庁はみる。

 サンマ漁はかつて日本がほぼ独占していたが、中国の食の多様化などを背景に、台湾や中国も進出。2013年に日本は台湾に漁獲量で抜かれた。日本が主に道東沖の自国のEEZ(排他的経済水域)を漁場とする一方、台湾などは北太平洋の公海で漁をする。

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