日本より数週間早く配信された欧米各国でも、ポケモンGO関連ビジネスは活況だ。一方で、個人情報の保護について消費者団体から問題を指摘する声も相次いでいる。

 「1時間15ポンド(約2000円)で『ポケタクシー』やります」。7月中旬、英国のオンライン掲示板に、こんな案内が登場した。投稿したのは20代の男性。利用料を払うと、珍しいポケモンGOのポケモンが頻出する場所に連れて行ってくれる。許可なく有料で人をクルマに乗せるのは違法だが、ポケモンGOの配信直後から、英国の各地でこの手の“白タク”が急増した。

 ロンドンでは、ポケモン獲得を完全に代行するサービスも登場。本人に代わってポケモンを取ってきてくれるわけだ。ポケモンの出没場所はしばしば変更されるため、効率的なルート作りは楽ではない。それでも、サービスを手掛ける男性は「我々にとってはビジネスチャンス」と、意気込む。

 白タクの勃興を受け、タクシー会社も正式サービスに乗り出した。スコットランドのタクシー会社は観光客向けにポケモンツアーを開始。「20分で50匹のポケモン捕獲を保証」と宣伝している。料金は1回15ポンドだ。

 さらに、より手っ取り早くポケモンを獲得したい人を狙ったビジネスも登場。オークションサイトのイーベイでは、ポケモンGOのIDが販売されている。珍しいポケモンを保有しているIDや、プレーヤーのレベルが高いIDなど種類は様々で、値段は1ポンド(約130円)から500ポンド(約6万5000円)以上まで幅広い。米ナイアンティックはIDの売買を禁じているが、今のところ野放し状態。英国では7月、IDを売って収入を稼ぐために、教職を辞めた女性が現れて話題となった。

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