現実とポケモンが相乗効果

 ポケモンGOを開発・配信するのは、米ナイアンティックというベンチャー。ここに、任天堂と、同社が議決権の32%を保有するポケモンが出資し、ライセンスを供与した。

 もともと米グーグルの一部門だったナイアンティックは、位置情報を利用したゲームアプリ「Ingress(イングレス)」を2013年から配信しており、昨年10月、米グーグルから独立した。

 イングレスは、世界200カ国以上で累計1500万以上のダウンロード数がある「陣取りゲーム」。「ポータル」と呼ばれる現実世界のあらゆるスポットを奪い合う内容で、実際にその場所へ赴かないとゲームに参加できない。今年1月までに全プレーヤーが移動した総距離は地球の約6450周分に達した。

 その中で、プレーヤー自身が地道に街角の看板や史跡などを撮影し、540万カ所以上ものポータルを登録していった経緯がある。ナイアンティックはこのイングレスの仕組みや資産を引き継ぐ形でポケモンGOという新たなゲームを開発し、世に出した。

 ナイアンティックの創業者、ジョン・ハンケCEO(最高経営責任者)が「現実世界とポケモンの魅力が相乗効果を生んだ」と言うように、日米の協業が爆発的なヒットを生んだのだ。

 ポケモンGOにおけるポータルは「ポケストップ」「ジム」という名に変わり、プレーヤーはそこに近づくことでアイテムやポケモンを獲得したり、育てた自分のポケモンを他人のポケモンと戦わせたりすることができる。

 ポケモンは、このライセンス供与に加え、開発にも深く関わった。

 例えば、ポケモンを捕まえる時の質感や効果音は、1996年登場の初代ポケモンからこれまで、シリーズ全ての制作を手掛ける、ゲームクリエーターの増田順一氏が徹底的に調整した。

 これまでのポケモンシリーズ同様、「敷居を下げて間口を広く」と徹頭徹尾、主張したのはポケモンの石原恒和社長。石原社長もまた、初代ポケモンから全てのシリーズのプロデューサーを務めるポケモンの育ての親の一人だ。

 ナイアンティックの技術力やアイデア。そこに、任天堂とポケモンが20年かけて育んできたノウハウと知的財産の価値が掛け合わさり、前代未聞の爆発力となったのだが、なぜこうした協業が実現し、成功したのだろうか。