世界中を席巻している「ポケモンGO」。任天堂、ポケモン、そして米ナイアンティックという3社による「偉業」だ。この日米共同のプロジェクトの背景を探ると、文化の壁を乗り越え、大ヒットを生み出した理由が見えてきた。

 「自分たちが出そうとしているものが世の中に支持されるのか、リリース前日まで、不安でいっぱいだった。ここまでのスピードで広がるというのは、もう全くの想定外」

 ポケモン(東京都港区)の宇都宮崇人・専務執行役員は、スマートフォン(スマホ)向けゲームアプリ「ポケモンGO」の爆発的なヒットを受け、率直な心境をこう吐露する。

 宇都宮専務はゲームソフト「ポケットモンスター(ポケモン)」シリーズの開発を統括する開発本部長で、ポケモンGOの開発でも最初から日本側の窓口として活躍したキーパーソン。配信以降、ポケモン幹部がメディアに語ったのはこれが初めてだ。

 その当事者ですら驚きを隠せない事態が世界中で進行している。

 7月6日、米国などを皮切りに配信が始まったポケモンGO。米アップルは、アプリ配信初週のダウンロード数として過去最高だったと発表した。配信先は世界90カ国・地域以上へ拡大し、米調査会社アップアニーによると、ダウンロード数は配信開始から1カ月を待たずに世界で1億件を超えた。

 その収益もすごい。米調査会社のセンサータワーによると、ポケモンGOは配信初月で約2億ドル(約200億円)のアイテムを売り上げ、これまでの記録を塗り替えた。

 経済効果はこれにとどまらない。7月22日に配信が始まった国内では、スマホの充電に使えるモバイルバッテリーの販売額が3倍近くに伸びた(GfKジャパン調べ)。歩き回る人が多くなるとみて、靴の売り上げを約1000億円も底上げするとの予測もある。1つのアプリに世の中が狂喜乱舞するという前代未聞の出来事が進行している。