アディダスなどドイツを代表する企業のデジタル化の背後には、産業基盤を支えてきた黒子2社の存在がある。シーメンスとSAPだ。経営不振に陥った危機感をバネに、「デジタルドイツ」をけん引する。

シーメンス
もはや製造業にあらず

 トヨタ自動車が徹底的にベンチマークしてきた独フォルクスワーゲン(VW)のプラットフォーム(クルマの基本構造)の共通化戦略。クルマを機能や部位ごとの部品の集まりである「モジュール」に分け、それらを柔軟に組み合わせて多様な車種を効率よく設計・製造することを目指すものだ。

 グループの年間販売台数が1000万台を超える両社にとって、開発・製造の効率化は経営の最重要テーマだが、モジュール戦略で先行したのがVWなどのドイツ勢だった。工場でのカイゼン活動による品質競争で日本勢に敗れたドイツ勢が、戦いの土俵を変えるために選んだ起死回生を狙った策である。

 ドイツでは今、デジタル技術のさらなる進化によって、このコンセプトが自動車産業から他の産業へと広がりつつある。けん引役が、ドイツ最大の重電メーカー、シーメンス。自動車業界と一緒になってモジュール戦略を推進してきた黒子だ。蓄積してきたノウハウを他業界にどのように応用しているのか。シーメンスが関わったアディダスのデジタル工場「スピードファクトリー」を例に見てみよう。

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