「襲われても仕方ない場所」が若者に人気の成長エリアに変貌。10万人を超える雇用を生んだ。都市力の向上につなげたロンドン五輪。大会後、負の遺産に苦しむ他の大会との違いはどこにあったのか。

以前は「行きたくない」とされる荒廃地だった(写真=Scott Barbour/Getty Images)

 「襲われても仕方ない場所」。ロンドン中心部から地下鉄で約20分。東ロンドンの一角は、10年ほど前まで、こういわれていた。廃棄物処理用地の間に荒廃した工場が立ち並ぶ、市内で最も治安の悪い地域の一つだった。

 そんな東ロンドンのイメージは大きく変わった。通称「イースト・ビレッジ」と呼ばれるエリアが誕生したからだ。広大な公園に寄り添うように、新しく整備された住宅群が軒を連ねる。オフィスや学校、医療センターも備える「街」に改造された。最寄りのストラトフォード駅には巨大ショッピングモールが鎮座する。徒歩30分圏内で必要なものがそろう「職住近接」が、若者から高い支持を得ている。

 一変したきっかけは2012年開催のロンドン五輪パラリンピックだ。競技場やプレスセンター、選手村が並ぶ五輪のメーン会場に設定され、再開発が一気に進んだ。