欧州各国では政治イベントが目白押しで、11月には米大統領選が待ち構える。政治の不確定要素がどのように連鎖し、経済やマーケットに波及するのか。英国で発生し、欧州を経由した衝撃波が世界経済に与える影響を検証する。

 電光石火でメイ新首相の就任が決まったものの、EUとの交渉スケジュールを含めてまだまだ暗雲が漂う英国。混乱はいつまで続き、いつどのようにして世界経済に波及するのか。

 それを知るには、当面の政治的な日程を見る必要がある。今後、欧州では重要な政治イベントが目白押しだ。

欧米の主要国で選挙が目白押し
●世界各国の主な政治イベント

EU主要国で選挙や国民投票

 当面の山場はこの10月に訪れる。この月だけでも、イタリアの憲法改正を巡る国民投票、オーストリアでは大統領選のやり直し、ハンガリーではEUが割り当てた難民の受け入れ可否を問う国民投票などが予定されている。

 そして2017年。3月のオランダの下院選挙に始まり、4~5月にかけてフランスの大統領選、8~10月頃にはドイツ連邦議会選挙が続き、EUの主要国の大半で重要な選挙が控える。

 これらの日程が意味するのは、英国とEUの交渉が長期化するという事実だ。EU首脳は、英国に対して新首相の選出後すぐに離脱を申請するよう求めている。ただメイ首相は就任直後のドイツのメルケル首相との電話会談で、「交渉の準備に時間が必要」と伝えた。

 英国はドイツやフランスなど交渉相手の政権が固まる2018年までは離脱申請をしないという見方もある。その前に交渉を始めても、政権交代があれば前提が覆されるためだ。

英国の新政権で外相に就任したボリス・ジョンソン前ロンドン市長。国民投票では離脱派をリードした(写真=Carl Court/Getty Images)

 英国内にも不安定要因が残る。例えばスコットランド。2014年に独立すべきかどうかの住民投票を実施し、結果的に英国に残留した。6月の国民投票では残留派が多数を占め、スコットランド行政府のニコラ・スタージョン首相はEUに残るために、再び住民投票を実施する可能性に言及している。

 その結果スコットランドがEUに加盟申請することが決まっても、「国内での分離独立運動の誘発を嫌うスペインなどが反対に回るだろう」(林景一・前駐英国大使)。EU内でさらなる分断が起こることも考えられる。

 今年11月には、米国の大統領選が待ち構える。不確定要素が多く、世界経済の成長シナリオを描くのはますます難しくなっている。