VRは時間や空間という現実の制約を超えた世界を我々に提示する。その可能性に着目し、生産性を飛躍させようと模索する動きが起きている。

理想とするイメージが担当者間でバラバラ
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VRで解決
仮想空間に理想的なプラントを建設。仕様変更や手戻りが激減する
三菱重工業のある研究拠点に、同社の全部門の担当者やその顧客がひっきりなしに訪れる部屋がある。その壁と床にはスクリーンが設置されており、天井のプロジェクターから映像を映し出す。裸眼ではゆがんだ絵にしか見えないが、専用の眼鏡を通して見ると景色は一変する。
例えばプラントを発注した顧客の目の前には、その完成イメージが、実寸大のバーチャル映像として浮かび上がる。スクリーン上部に設置された4つのセンサーが装着者の眼鏡の位置や向きを常に捕捉。その視線の向きに合わせて、眼鏡を通じて見える映像がリアルタイムに変わる。コントローラーを操作して、プラントの中を自由に動き回ることも可能だ。
「手すりの向こう側にバルブが設置されている。これじゃ使いにくいよ」。VR化されたプラント内部を歩き回りながら、顧客の運用担当者が構造上の課題を見つける。その横では「この位置の配管だと溶接がやりにくい」と、組み立てを担当する作業長がしゃがみ込んで指摘する。
専用の眼鏡をかけた各プロセスの専門家が次々と改善点をぶつけていく。その光景はまるで、実物のプラントをプロ集団がつぶさに点検しているかのようだ。彼らの意見を反映して仮想プラントはその姿を変え、より完成度の高い施設へと変貌を遂げていく。
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