米中のIT大手にスタートアップも入り乱れ、2018年に入って一気にヒートアップした覇権争い。 「マラソン」にも例えられる競争を勝ち抜き、次のIT業界を制するのは誰か。

 「AI(人工知能)とIoT、インダストリー4.0とブロックチェーン、そして量子コンピューター。あらゆる企業がこの5つのテクノロジーに備える必要がある」。米IBMのバージニア・ロメッティCEO(最高経営責任者)は6月中旬、ドイツのハノーバーで開催された世界最大級の見本市「CeBIT 2018」で熱弁を振るった。量子コンピューターがAIなどと並ぶ、IT業界の「注目株」になった瞬間だ。

商用化でリード
顧客との連携急ぐ
(写真=Bloomberg/Getty Images)
IBMのロメッティCEOは「あらゆる企業が量子コンピューターに備える時期だ」と訴え、同社復活の切り札に位置づける。下はクラウドで利用できる「IBM Q」

 世界中のIT大手が、量子の力に魅入られている。米グーグルに加え、米マイクロソフトや米インテルも開発体制を相次ぎ強化し、ベンチャーに巨額の資金が流れ込む。中国からはアリババ集団も参戦。18年の盛り上がりは、量子コンピューター「元年」と呼ぶにふさわしい。

 IBMが狙うのは、スーパーコンピューターで失った地位の「奪還」だ。量子コンピューターはまず、化学シミュレーションやAI分野で使われるスパコンを置き換えていくとされる。米調査会社ハイペリオンリサーチによれば、17年のスパコン世界市場規模は123億ドル(約1兆3530億円)に達する。