驚異的な計算速度で、IT業界の常識を一変させる量子コンピューター。なぜ速いのか、これまでとは何が大きく違うのか。基礎の基礎から徹底解説する。

「0と1が重なり合う」量子の世界では何が起きている?

 肉眼はもちろん、顕微鏡をのぞき込んでも見ることはできない。量子コンピューターは、そんな極めてミクロな「量子の世界」における特殊な現象を活用する高速計算マシンだ。

 量子の代表例は原子や電子、素粒子など、髪の毛の直径の100万分の1に満たない、極めてミクロな存在だ。量子の世界では本特集の「肝」となる、私たちの感覚とは懸け離れた現象が起きている。それが「重ね合わせの状態」。

 人間の常識では、コインは「表」か「裏」のいずれかにしかならない。