スタートアップ連携で成功するには、協業相手の本音も理解する必要がある。日本の注目新興企業10社が、大企業に何を望むか、本音を聞いた。そこから浮かび上がるのは、イノベーションを取り込むための協業の心得だ。

 AI(人工知能)の分野で今、世界的に注目されているスタートアップが日本にある。2014年創業のプリファード・ネットワークス(東京都千代田区)だ。昨年は米アマゾン・ドット・コムが主催する物流の自動化技術を競う大会で、知能化ロボットにおいて16チーム中2位(1位と同スコア)の成績を収めた。今年1月には、乳がんの診断精度を99%以上に高める研究成果を発表した。

プリファード・ネットワークス西川徹社長(左)とファナック稲葉善治会長(右)は知能化ロボット開発で提携した(写真=上:村田 和聡、左下:日経コンピュータ)

 同社には世界中の大企業から出資や提携の打診が多く舞い込むものの、これまで出資を受けた事業会社は、NTTとファナック、トヨタ自動車の3社のみだ。プリファードには大企業と協業する際、絶対に譲れない一線がある。それが、対等な関係を築けるかどうかだ。そのため、協業相手を選ぶ際には主に3つの判断軸がある。

 一つは、下請けのような仕事は受けないことだ。「AIを使って何かやってほしい」という漠然とした依頼は多い。しかし、プリファードには独自のAI技術があり、人件費や開発のコストも高い。そのため、スタートアップを下請けのように扱い、技術を買いたたくような大企業とは組めない。