米ウエスチングハウスののれん減損と、パソコン事業のバイセル取引。東芝の経営危機を深刻化させた2つの問題の背後には、会計のプロ集団がいた。新たに入手した資料で、トップを含む複数のデロイトトーマツ幹部の関与が判明した。
東芝 | デロイトトーマツ | |
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西田厚聰社長が約6000億円を投じて米ウエスチングハウスを買収 | 2006年 | |
佐々木則夫社長が、2015年度までに39基の原発新設を受注すると発表 | 2009年 | |
3月 東日本大震災により福島第1原発事故が発生 | 2011年 | デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)が「のれんの減損に関する相談業務」を受託 |
7月 WHが単体決算で762億円を減損処理し、営業赤字に転落 12月 減損を回避するため、将来計画の策定を行うとの方針が、東芝財務部から久保誠CFOに伝えられる |
2013年 | 「WEC減損テスト相談業務」を受託 12月 複数の前提条件を付けつつ、減損テストの実施を引き延ばせる可能性があると提案 |
3月 久保CFOがメールを送信 WHが394億円を減損処理、2年連続で営業赤字に転落 9月 パソコンのバイセル取引に関する「会計士監査・税務調査対応」マニュアルを作成 |
2014年 | 複数の会計相談業務を継続的に受託 減損についての監査法人対応を東芝にアドバイス |
4月 不正会計が発覚、特別調査委員会を設置 5月 第三者委員会を設置 5月 デロイトや新日本監査法人と共謀し、第三者委員会の調査範囲からWHを外す 7月 不正会計の責任を取り、歴代3社長ら取締役が一斉に退任 |
2015年 |
4月 DTFAの築島繁氏が特別調査委員会の委員に 5月 第三者委員会の委員に、監査法人トーマツOBの山田和保氏が就任。調査補助者にDTFAを起用 7月 小川陽一郎氏がデロイトトーマツグループCEOに就任 9月 監査法人トーマツ元包括代表(CEO)の佐藤良二氏(下写真の右から2人目)が、東芝取締役に就任。監査委員会委員長となる |
東芝問題がここまで深刻化した最大の戦犯は、粉飾決算に手を染めてきた歴代の経営陣だ。問題を追及せず、結果として放置してきた新日本監査法人の責任も重い。だが、一連の粉飾決算にはもう一人の“役者”がいる。財務と会計のプロフェッショナル集団である、デロイトトーマツグループだ。
本誌は今回、社内システムや電子メールの記録など様々な内部資料を入手。複数のデロイトOBからも証言を得た。取材の結果、現在のグループCEO(最高経営責任者)である小川陽一郎氏を含む数十人の幹部が、東芝問題に深く関与していたことが新たに判明した。
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