債務超過に転落したことで長年の顧客が離反し、半導体売却も一筋縄ではいかない。頼みの綱の政府・与党はさじを投げ、決算を出せない「監査難民」リスクも浮上する。6月28日に定時株主総会を開くが、東芝経営陣は当事者能力を失いつつある。

<b>東芝の主力工場である府中事業所に出勤する社員</b>(写真=竹井 俊晴)
東芝の主力工場である府中事業所に出勤する社員(写真=竹井 俊晴)

 「これからも東芝さんに任せていいのかな。エレベーターの保守点検は、10年単位の付き合いになるからね。やっぱり安心できる企業に頼まないと」

 マンション管理組合の会合に顔を出した東芝社員は絶句した。確実に受注できると考えていたビジネスが、崩れようとしていたからだ。

 「照明や空調などでも、内定していた受注が相次いでひっくり返されている」と、別の社員も証言する。競合のネガティブキャンペーンが激しくなり、顧客が不安に駆られているという。そしてこう漏らした。「名門だから、大企業だから、という理由で盲目的に東芝を選んでいた顧客ほど、取引を厳しく見直すようになった」

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