ついに米中貿易戦争の悪夢が現実のものとなるのか。トランプ大統領は7月から500億ドル相当の中国製品に制裁関税を課す。それに対し、中国はすぐさま対抗関税を発表。「自由」と「豊かさ」に触れれば内部から変わると米国は夢想したが、中国は自由貿易のメリットを享受しつつ独自モデルを磨き上げた。そして今、先端技術や軍事の面でも米国を脅かそうとしている。怒りのトランプはなりふり構わぬ姿勢で中国を追い込む。制裁関税だけでなく北朝鮮の非核化を巡る動きもその一断面だ。今世紀を通じて続く超大国と挑戦者の「新冷戦」はこれからが本番だ。
(ニューヨーク支局 篠原 匡、上海支局 小平 和良、バンコク支局 飯山 辰之介)
CONTENTS
PROLOGUE
“虎の尾”を踏みつける中国
ぶつかる超大国 変わる世界秩序
PART 1
中国が狙い、米国が警戒するテクノロジー覇権の争い
民主主義の弱み突く「官民複合体」の破壊力
PART 2
貿易戦争の現場を行く
衝突はまだ序の口 報復におびえる米国