取り締まり強化に力を入れる厚生労働省と現場の監督官は、必ずしも一枚岩ではない。だが「この機会に全ての違法残業を撲滅する」という気迫は全ての関係者が持ち合わせている。経営者は労働基準法に対する考え方を抜本的に改めることが欠かせない。

 「全くの勇み足と言わざるを得ない。時効が迫る中で『何としても書類送検まで持っていけ』という本省からのプレッシャーが現場を暴走させたに違いない」。ある労働基準監督署の関係者はこう話す。この関係者が「世紀の大失態」と指摘するのは、三菱電機の労基法違反容疑の件だ。

 労使協定の上限を超える残業を研究職の男性にさせた(労基法32条違反)として、神奈川労働局が三菱電機と労務担当社員1人を横浜地検に書類送検したのは2017年1月11日。男性が勤務していたのは情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)で、ここでは「36協定の特別条項」に基づき、1年の半分を限度に、月60時間までの残業が認められていた。