苛烈化する労働基準監督署の取り締まりのターゲットになっているのは、ブラック企業だけではない。普通の会社が当たり前のように実践してきた働き方が「厳密には違法」と指摘される事態も増えてきた。いかに言い訳しようとも、労基署はもう「グレーな働き方」を見逃さない。

(写真=北山 宏一)

 「社員が一人ひとり、黒いワゴン車に“連行”される様子を見た時は、冷や汗が流れた」。鹿児島県で約80年続く旅館の3代目経営者A社長は労基署の再調査が入った日をこう振り返る。

 肌が滑らかになる「炭酸水素塩泉質」による源泉掛け流しの露天風呂が自慢で、直近の年商は約30億円。約100人を雇用し、旅行不況といわれる中で堅実な経営を続けてきた。