ネット通販の利用拡大で、ヤマト運輸の宅配現場が苦境に追い込まれた。ヤマトは、本当に宅配パニックを防ぐことができなかったのだろうか。詳しく検証すると、「人手不足」だけではない経営上の問題が浮かび上がる。

<b>インタビューで本音をのぞかせたヤマト運輸の長尾裕社長</b>(写真=的野 弘路)
インタビューで本音をのぞかせたヤマト運輸の長尾裕社長(写真=的野 弘路)
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 「インターネット通販というのは、基本的には非常に良い存在だと思いますよ。しかし、それは荷物を運んで初めて成立するビジネスでしょう」

 「クリスマスや母の日など、荷物が増える毎年の行事には備えてきました。ただ、ネット通販が独自に展開するセールによって、例えば大量のミネラルウオーターを運ばなければならないようなことまで想定して我々が体制を整えておく必要があるのでしょうか」

 日経ビジネスのインタビューに、ヤマト運輸の長尾裕社長は、いら立ちを隠さずに本音を露呈した。それは、ネット通販の需要拡大を支えてきたのはヤマトであり、消費者が利便性を享受できるのもヤマトのおかげだという、強烈な自負があるからだろう。そして、ネット通販大手アマゾンジャパンとの取引については、次のように説明した。

 「佐川急便さんが(2013年に)捨てたものを拾ったみたいな言い方をよくされますが、そんなつもりはさらさらない。もともと、日本通運さんがやっていたアマゾンさんとの取引を、全部安値でひっくり返したのは佐川さんですから。(ヤマトがやらなければ)誰が運ぶのですか。(アマゾン側から)何とかして助けてくれないかというお願いがあったので、力になろうと判断した」

 だが、こうした公共性を重んじ、他社が断った荷物まで運ぶようなヤマトの姿勢が、限界に達している。今年4月、過去2年分で約190億円もの未払い残業代を支払うという、前代未聞の事態を発表。現場が疲弊しているのだ。

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