トップダウンを得意とする欧米中の戦略に日本が勝つには、同じやり方ではダメだ。相手にはない自身の強みを生かした方が勝算はある。トヨタ自動車は、その本質に気づいた。

5月9日に開いたトヨタ自動車の2018年3月期決算会見。2時間の会見の後半にさっそうと現れた豊田章男社長の顔は、どこか晴れ晴れとしていた。
「社内で私はよく『戦う』という言葉を使うが、社員にこんなことを聞かれた。『戦う戦うって社長は一体、誰と戦っているのですか?』。その質問に悩み、私が出した結論が『トヨタらしさを取り戻す戦い』だった。トヨタらしさとは原価低減とジャストインタイム(JIT)。使い古された言葉だが、この2つがトヨタらしさを取り戻すエッセンスではないか」
PART2で取り上げた欧米メーカーの対策は、多軸化して無限大に膨らむ市場ニーズに応えるための処方箋だった。いくつもの軸を経営者自ら整理して戦略を立て、最も効率が良いと考えられる戦術を社員に徹底して敵に挑む。太鼓を鳴らしてトップダウンで雷を落とす「雷神」のような手法だ。
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この記事はシリーズ「特集 中国発 EVバブル崩壊」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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