少子高齢化が進み、国の財政に不安が高まる日本。社会保障費の膨張を止めて、医療関連サービスを効率化する制度改革は最重要課題だ。だが実態を見ると、入り組んだ利害関係に阻まれるなど誤算が続き、視界は晴れない。

(写真=Doable/Getty Images)
医療費は42兆円を突破
DATA01
●国民医療費の推移と将来推計
高齢化と医学の進歩で膨張を続ける医療費。団塊の世代がすべて後期高齢者になる2025年に向けて現役世代の負担は急増
出所:厚労省、20年度と25年度は推計

 42兆円──。2015年度に病院や薬局に支払われた「国民医療費」(下のDATA02の図を参照)の総額だ。戦後右肩上がりで上昇を続け、医療の高度化や高齢化に伴って、この30年間で実に2.6倍に膨れ上がった。この額は、オーストラリアの国家予算に匹敵する。

 国民1人当たりの国民医療費は、1985年度には13万2300円だったが、2015年度は33万3300円。国民所得に対する国民医療費の割合も約6%から約11%へと跳ね上がり、家計にも重くのしかかっている。

「薬」の国民負担が増大
DATA02
●国民医療費の内訳
入院、外来、薬局での調剤など、保険診療の費用の総和が「国民医療費」。診療行為ごとの公定価格が「報酬点数」で定められており、2年に1度見直される