天災と人災が重なる時、王朝が滅ぶ。それが中国の歴史だという。広東・東莞で工場を営む経営者は、「今がその時」と危機を感じ国外移転へと動き始めた。中国を激しく攻撃するトランプ米大統領は果たして天災なのか。

操業を停止し、借り手を募る紙が貼られた広東省東莞市内の工場。東莞には新たな借り手を募集している工場が目立つ(写真=Lam Yik Fei/Getty Images)

 「中国には『天災人禍』という言葉がある」と男は言った。中国にとって米国のドナルド・トランプ大統領は天災なのだろうか。

 天災人禍、つまり天災と人災が絶え間なく続く時、王朝が滅びるのが中国の歴史なのだという。そして、今、中国にその時が近づいていると男は言う。

 彼は名前を名乗らず、仲間からは「飛飛(フェイフェイ)」と呼ばれていた。台湾の大学を出た後、親戚の仕事を手伝うために、広東省東莞市にやって来た。1978年に中国が改革開放に政策のかじを切って以降、製造拠点を求めて東莞に移ってきた台湾人は多い。

 フェイフェイも2003年に自らの工場を手にし、海外に売る製品を作るようになった。「(リーマンショックが起こった)08年までは事業をどんどん拡大できた」と言う。

 フェイフェイが作るのはプラスチックやガラスを使った季節物のインテリアだ。日本の大手家具チェーンにも商品が並んでいるが、欧米への輸出が大半を占める。中でも米国向けが多く、米小売り最大手のウォルマート・ストアーズや同じく大手のコストコ・ホールセールはフェイフェイの重要顧客だ。