日本が長らく得意としてきたカイゼンが今、劇的な変貌を遂げようとしている。価格の下がったセンシング技術を使えば、誰でもムダが見える時代になった。

 シリコンバレーの住宅街を1台のクルマが軽快に走り抜けていく──。

 3月24日、ツイッターに投稿されたある動画が話題を呼んだ。公開したのは、EV(電気自動車)メーカーの米テスラ創業者、イーロン・マスク会長兼CEO(最高経営責任者)だ。

これからは工場そのものが商品になる
テスラ会長兼CEO(最高経営責任者)
イーロン・マスク氏
(写真=Bloomberg/Getty Images)

 そのクルマは、テスラが年内に発売するコンパクトセダン「モデル3」。価格を3万5000ドルに抑えたこともあり、約40万台の受注を獲得済み。出荷が始まれば日産自動車の「リーフ」を抜いてEVの世界販売台数で首位に躍り出るのも時間の問題とされる。

 モデル3の成否は工場の「カイゼン」にかかっている。現在のテスラの主力工場の生産能力は年間約10万台。モデル3だけを作ったとしても、受注分を作り終えるのに4年かかる計算だ。

 昨年11月、テスラは工場の自動化で高い技術を持つ独グローマン・エンジニアリングの買収を発表した。工場を一気に自動化することで、モデル3の生産能力を2018年までに年間50万台に上げようとしている。

 マスク氏はこう予言する。

 「これからは製品だけではなく、工場そのものも『商品』になる」

 テスラが工場を強化するのは、生産能力拡大だけが狙いではない。バッテリーやモーターなど部品のコモディティー化が進むことで、EVの価格競争はこれから本格化する。どれだけ効率的に作れるかどうかが、自動車メーカーの勝敗を分ける。