国鉄の分割民営化で、JR7社体制に移行してから4月1日で30年を迎える。4社が上場したが、新たな文化や成長モデルを示したとは言い難い。30年で浮かび上がったのは、主要路線の収入と立地の良さに甘んじてきた姿だ。人口減少時代に突入する中、思考が止まった経営から脱しないと将来はない。今のままでは「株主利益の追求」と「地方路線の維持」の二兎を追えないだろう。人口が減少すれば、JRも縮小均衡に陥るのか。JRの未来は日本の未来でもある。逆境を跳ね返すビジネスモデルの確立が急務だ。
(須永 太一朗、大西 孝弘、河野 紀子)
1987年 日本国有鉄道の分割民営化でJR7社が発足 |
1990年 東日本旅客鉄道(JR東日本)が在来線の自動改札システムを導入 |
1992年 東海道新幹線「のぞみ」運転開始 山形新幹線開業 |
1993年 JR東日本上場 |
1996年 西日本旅客鉄道上場 |
1997年 東海旅客鉄道上場 秋田新幹線開業 |
2005年 福知山線脱線事故 |
2011年 九州新幹線全線開業 石勝線の脱線火災事故 |
2013年 10の交通系ICカードの全国相互利用サービス開始 |
2015年 北陸新幹線(長野~金沢間)開業 |
2016年 北海道新幹線(新青森~新函館北斗間)開業 九州旅客鉄道上場 |
CONTENTS
PART1
商業、都市開発、観光…需要生み出せぬ病
国鉄モデル引きずり 今もドル箱路線頼み
PART2
離島のホテルから、農業、街づくり、ドラッグストアまで
九州が示すJRの活路 危機感を稼ぐ力に
INTERVIEW
分割民営化を主導 JR東海の葛西敬之名誉会長
努力と幸運のリニア 個性を磨き続ける