3・11、津波で東北沿岸は壊滅した。あれから7年。建物はピカピカの新築が並び、「復旧」を果たした。だが、岩手県大船渡市の巨大なモールにたたずみ、不安げに見上げる店主がいた。「こんなに家賃が高くて、みんな続くのか……」自治体は「観光客を呼び込む」と説明する。だが、彼は巨大モールへの出店を見合わせた。7年前と変わらない商売をしていたら、コストだけが膨らむ未来を生き抜けない。しかも、被災地は人口減少と高齢化が急速に進む。革新を起こすしかない──。立ち上がった者たちが、ビジネスの常識を覆していく。輝き始めた小さな光。その軌跡を追う。

=敬称略(金田 信一郎、寺岡 篤志)

金田 信一郎 日経ビジネス編集委員
2011年、3・11の翌日から被災地に向かい、日経新聞仙台支局を拠点に取材を開始。第一報のルポを掲載後も取材執筆を続ける。主な特集に「未来都市フクシマ」(2011.9)、「3・11 まだ見ぬ未来へ」(2012.3)など。
寺岡 篤志 日経ビジネス記者
2011年、震災直後に宮城県南三陸町を中心に避難所などを取材。15~16年、日経新聞の復興担当記者として福島に住み、1年にわたって被災3県の現場を歩いて、取材執筆を続けた。16年4月より現職。
震災直後(岩手県大船渡市)
震災直後(岩手県大船渡市)
(写真=村田 友裕)
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日経ビジネス2018年3月5日号 22~23ページより目次