雇用創出で社会に貢献

 問 資本主義の公式を変えるために、コカ・コーラはどのような役割を果たすのですか。

 答 私たちは世界最大級の民間雇用主です。ボトラー社(飲料製品の製造委託先)と合計で約77万人を雇用しており、日本でも2万人以上を直接雇用、サプライチェーン全体で9万3000人を間接雇用しています。ボトラー社と合わせて毎年約200億ドル(約2兆3000億円)を全世界で投資しており、日本でも2016年に10億ドル(約1150億円)以上を製造・物流などに投資しました。

 つまり、まずコカ・コーラは各国の経済成長をけん引することで社会に貢献しているのです。今日の世界で最も重要なことは、より多くの雇用を創出することです。雇用を作るのは政府ではなくビジネスですから。

(写真=的野 弘路)
(写真=的野 弘路)

 問 雇用創出は社会とのつながりを考えるうえで非常に重要な要素ですが、株式会社としては株主価値の向上が最も重要なのではありませんか。

 答 もし私が10~15年前にCEO(最高経営責任者)をしていたなら、恐らく株主価値の創造だけしか話さなかったでしょう。しかし今、私が常に語るのは、ステークホルダーへの価値創造です。決して、株主価値の最大化を否定しているわけではありません。それでも、私たちは株主に加えて、従業員、顧客、市民社会という、全てのステークホルダーに価値を提供できるビジネスモデルに進化する必要があると考えています。

 事業を展開している200カ国以上でそれができなければ、株主に対しても持続的に価値を提供することはできません。顧客、従業員、取引先、社会、そして政府当局のどこか一つでも不満を抱えていては、株主も幸せにはなれないからです。これこそが、私たちが目指しているコネクテッド・キャピタリズムの基本的な考え方です。

 問 具体的に、どのような活動をしているのですか。

 答 コカ・コーラとしてステークホルダーへの価値創造で重視しているのが“3W”です。最初のWは“Women(女性)”を意味します。

 私たちは2010年に、2020年までに500万人の女性の経済的自立を支援するという公約を掲げました。単独企業が実施する経済的な自立支援プログラムとしては圧倒的な規模です。

<b>水を大量に使う企業として水資源の保全にも力を注ぐ</b>
水を大量に使う企業として水資源の保全にも力を注ぐ

 新興国の女性を対象に、国際金融公社(IFC)と共同で1億ドル(約115億円)のマイクロクレジット(少額融資)を実施する活動もしてきました。各国のNGO(非政府組織)の協力を得ながら、女性が会計や在庫管理、衛生などの知識を身に付けられるように基本的なトレーニングも提供しています。卸業者や小売業者として自立できるように支援しているのです。その数は既に120万人以上になりました。

 問 そのほかのWは何ですか。

 答 2つ目は“Water(水)”です。コカ・コーラは世界中で最も水を使っている企業の一社です。2020年までにウオーターニュートラル、つまり、製品と製造過程で使われる水と同じ量の水を社会に還元することを目標に掲げ、2015年に前倒しで達成しました。工場で使う水を減らし、水をリサイクルし、雨水をためる取り組みは、水という希少資源を大切にする風土を世界的に醸成する重要な役目を果たしています。

 そして3つ目が“Well-Being(健康な生活)”です。世界中のアスリートが健康な生活をできるように支援しています。陸上400mの日本記録保持者、高野進さんもパートナーの一人です。

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