“トランプの時代”に動じないために、なぜ、「サステナブル経営」が必要なのか。グローバル企業の最先端の潮流を知る専門家たちが、その根拠を解説する。

世界共通のルールが崩壊
「リ・ローカリゼーション」が進む
Expert
米ボストン コンサルティング グループ(BCG)
リッチ・レッサーCEO

 グローバリゼーションの本質が、3つの観点で変容した。世界経済の状況、各国政府との関係、技術革新の急速な進展だ。これらによって、企業は経営モデルを再考する必要に迫られている。

 まず世界経済。成長が速い新興国と、成長が鈍化した先進国という2つの世界があると言われたが、今やそんな単純な図式は通用しない。新興国でも経済の状況はバラバラ。各国の事情に合わせた、より洗練された戦略が必要だ。

 今まで以上に各国政府の要求にも配慮しなければならない。よりオープンでフェアな貿易という理想に陰りが見える。新興国の国有企業や、民間でも国家の手厚い支援を受けている企業が台頭するなど、何が公平な競争条件なのか、判断が難しくなった。自由貿易の守護者だった米国でさえ内向きになっている。

 技術革新も経営環境を一変させた。ロボットやAI(人工知能)の発達で、工場を国内に戻す「リ・ローカリゼーション」も進む。技術は生産性を向上させ富を増やすが、格差など社会問題を生み出す懸念もある。人材や地場産業などに積極投資し、技術が持つ負の側面を緩和する努力が欠かせない。 (談)