米国のトランプ新大統領に、「持続的な成長」を目指すトヨタ自動車が「難題」を突き付けられた。それは「グローバリゼーション」のひずみが生んだ社会課題に直面する、日本企業の象徴的な姿だ。

1月9日、トヨタ自動車の豊田章男社長は米デトロイトのモーターショーで、新型カムリの紹介とともに米国への貢献を訴えた(写真=Scott Olson/Getty Images)

 「トランプがこのことに気が付いたら、ちょっと厄介だな」──。

 ドナルド・トランプ新大統領は1月5日、ツイッターで「NO WAY!(あり得ない)」と発信し、トヨタ自動車にメキシコ工場建設を撤回するよう求めた。その直後、トヨタ関係者は、社内で“ある事実”が懸念されていると打ち明けた。同社の象徴、ハイブリッド車「プリウス」と高級車「レクサス」が、ほとんど米国で作られていないことだ。

 米国で販売されている全てのプリウスとレクサスの大半が、日本から輸入されている。プリウスは電池のサプライチェーンの関係から、米国で生産するのが難しい。一方、レクサスの生産には高度な技術が必要なため、米国生産は一部の車種だけだ。トヨタにとっては、最先端技術を日本にとどめておきたいという事情もある。仮にプリウスやレクサスまで米国生産をしなければ高い関税を課すと脅されれば、同社にとってさらなる「難題」となりかねない。