EV(電気自動車)市場は異業種からの参入も相次ぎ、既にカオス状態だ。“垂直統合”の産業構造は、“水平分業”のプレーヤーの台頭で大きく変わる可能性も。

欧州のスタートアップ、ユニティ・スウェーデンが2017年12月に発表した新型EV。独シーメンス、独クーカなど製造業の世界大手が支援する(写真=永川 智子)

 2017年12月7日夜。約2000人の関係者が見守る中、ライトに照らされた小型のEV(電気自動車)が舞台の奥から姿を現した。卵を横に傾けたような流線形のデザインに青いフロントライト。「19年には販売を始めます」と司会者が発表すると、聴衆は沸き立った。

 ここはスウェーデン南部の都市、ランズクローナ。小型EVを開発するスタートアップ、ユニティ・スウェーデンの開発・生産拠点だ。社員は70人余りで、CEO(最高経営責任者)のルイス・ホーン氏をはじめ自動車業界の出身者はゼロ。それでも、15年の創業から約2年で試作車の完成にこぎ着けた。

 経験も技術の蓄積もない状態から始めたにもかかわらず、ユニティが開発を進められた背景には、同社を支えるグローバル企業の強力なサポートがある。重電の独シーメンス、産業機械の独クーカ、AI(人工知能)向け半導体の米エヌビディア、スウェーデンの通信会社テレツーなどだ。

 例えば、シーメンスはデジタル技術をフル活用した生産システムを提供する。ボディーの剛性やエアロダイナミクスなど、かつては試作車を何度も作って確かめていた技術的要素を、ソフトウエアでシミュレーションできる“デジタルツイン”と呼ばれる技術だ。そこで作られた設計情報を基に、クーカの産業用ロボットがユニティの自社工場でクルマを組み立てる。