トランプ次期大統領の存在は日本の外交や経済にも影響を及ぼしつつある。

 12月15、16の両日に行われた日ロ首脳会談。安倍晋三首相はウラジーミル・プーチン大統領と北方領土問題を含む日ロ間の平和条約締結に向け北方四島での共同経済活動に関する協議の開始で合意し、記者会見などで「平和条約への重要な一歩だ」と強調した。

 経済協力をテコに日ロの信頼関係を深め、領土問題の解決につなげようというのが安倍首相の基本戦略。会談に合わせ日本側が提案した8項目の対ロ経済協力プランに基づき、約80件の経済協力に関する合意文書を交わした。だが北方領土の主権を巡る溝は埋まらず、領土問題の解決に直接つながる合意は得られなかった。共同経済活動の枠組みに関する協議も難航は必至だ。

<b>安倍晋三首相とプーチン大統領の会談にも影響を与えたとみられる</b>(写真=読売新聞/アフロ)
安倍晋三首相とプーチン大統領の会談にも影響を与えたとみられる(写真=読売新聞/アフロ)

 今年5月や9月の安倍首相との会談で領土問題の解決に前向きな姿勢をにじませていたプーチン氏だったが、その後、態度を一変させた。領土問題で弱腰を見せればプーチン氏の政権基盤が揺らぎかねないといったロシアの国内事情に加え、大きな要因と見られるのがトランプ氏の大統領選での勝利だ。

 オバマ米大統領とプーチン氏の仲は険悪と言える状況だ。EUもロシアと対立を深めている。米から圧力を受けながらも安倍首相がプーチン氏との関係強化を進めたのは、欧米の包囲網に直面するロシアに接近することでプーチン氏との信頼関係を構築し、領土交渉の前進と東アジアの安全保障を脅かす中国をけん制する狙いからだった。

 だが、トランプ氏は国務長官にプーチン氏と親交のあるティラーソンCEOを起用するなど、ロシアとの関係改善に取り組む姿勢を鮮明にしている。ロシア経済を揺さぶってきた原油安も減産合意で一服しており、「政治・経済両面で日本との関係打開を急ぐ必要性が急速に薄れたのだろう」と政府関係者は指摘する。

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