「偉大なる米国の復活」を掲げて次期大統領の座を手にしたドナルド・トランプ氏の外交手腕は未知数とされてきた。ツイッターの書き込みや主要閣僚人事には「素人」との批判が上がるが、「意外に戦略的」との見方も。少なくともオバマ政権とは異なる新たな秩序を築こうとしているのは間違いなく、世界はそれに身構えている。

「米中関係が悪くなっても、米ゼネラル・モーターズ(GM)製自動車の販売に大きな影響はないと信じている。中国最大手メーカーの上海汽車集団との合弁事業だし、ディーラーは現地資本だから。しかし大統領就任後のトランプ氏の動きは気になる」
12月中旬、中国・上海でGM車などを販売する李方氏は、ドナルド・トランプ氏の次期米大統領就任について、わずかな不安を口にした。
GMは昨年、中国での新車販売台数で独フォルクスワーゲン(VW)を抑えて3年ぶりに海外メーカーとしてシェアトップに返り咲いた。GMが昨年、世界で販売した約996万台のうち、実に3分の1強を中国市場で売った。同社にとって中国は決して失うことのできない大切な市場だ。
だが、トランプ氏の最近の言動は、近年の米国と中国の安定した関係の上に築かれてきたビジネスにも影響を与えかねない。
そもそも米大統領選の直後まで、中国にはトランプ氏に対する楽観論があった。ビジネスマン出身のトランプ氏は交渉できる余地があり、人権など中国が抱える問題の根幹を突いてくる可能性の高いヒラリー・クリントン氏よりくみしやすいといった見方だ。
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