「お堅い」イメージのある名門企業が、来春、遠近両用の「電子メガネ」を発売する。企業間取引の中で育ったメーカーが、新しい商機を求め、消費者向け商品で勝負をかける構図だ。背中を押したのは、クラウドや動画配信といったITサービスだった。

三井化学が来春発売する電子メガネ「タッチフォーカス」。フレームに、USBで充電する小型電池を内蔵する(右)

 大手メガネチェーンの関係者が「画期的な製品」と絶賛する電子メガネがある。フレームに電池を内蔵し、2枚のレンズの間に封じ込めた液晶の向きを変えることで、焦点距離を変える仕組み。「従来の遠近両用メガネはレンズの中央以外では像がゆがみやすく、不快感を覚えたり、使用を控えたりする人が多かった。これならその欠点を解消できる」(メガネチェーン関係者)

 この電子メガネを来春発売するのが総合化学大手の三井化学である。利用者の視力や骨格に応じたオーダーメード品として、既存のメガネ店で注文を受け、名古屋工場の専用ラインで生産する。価格は最高級の遠近両用メガネと同程度の1本20万円強(フレーム込み)と高額だが、年5万~6万本の販売を目指す。国内の遠近両用メガネ市場で1%のシェアに相当する規模だ。