成長を優先させた「焦燥」

 秋口から記事の正確性や著作権侵害などの問題点を指摘されていたWELQ。まとめサイトとして、ネット上からあらゆる情報を引用し、数万件もの記事を積んでいたが、「肩こりの原因は霊」といった根拠不明な記事が並ぶなど記事のチェック体制がずさんだった。引用ではなく、外部のブログ記事などの表現を変えただけの「リライト」や、画像の無断利用も数多く指摘された。

 決定打となったのがネットニュースによって暴かれたその手法だった。

延焼止まらず、全サイトの休止へ
●DeNAの情報サイトをめぐる主な動き

 DeNAは、いわゆるクラウドソーシングを使って、ネット経由で幅広く外部ライターを募り、「2000文字1000円」という低単価で1日100本以上もの記事を量産していた。マニュアルには「文章が重複しないようにご自身の言葉でリライトをお願いします」と、盗用を推奨するかのような文言もあった。

 発注するのは、グーグルなどのサイトで頻繁に検索されるキーワードに基づく記事だ。検索サイトで上位に表示されるよう最適化する「SEO」対策のため、より長文で、多数の関連キーワードをちりばめる手法も指示していた。

 これが人の健康に関わる医療分野で行われていたことが、ネット上の各所から非難された。守安社長も「モラルに反する」と重く受け止め、11月29日にWELQの全記事の非公開を決定。だがその後、同様の手法がDeNAの他のキュレーションサイトにも用いられていると指摘されると、12月1日、追加で8サイトの休止を発表。これらとはマニュアルが異なり、別組織の運営だったMERYに関しても次々と疑義が持ち上がり、全サイトの休止に至った。

 「日々刻々と報道が出たり、新たな指摘を頂いたりする中で、都度、社長として相当に難しい判断を思い切ってやってきたつもりでした。ただし結果として、段階的な対応となってしまったのはひとえに私の判断ミス。後手後手と言われても仕方がないと思います」

 実は、著作権侵害が多いのではないかという指摘は、DeNAが2014年にインテリア関連の「iemo」とMERYを計50億円で買収した当時からあり、守安社長も「グレー」との認識はあったという。この2サイトを基盤にしてキュレーションサイトを増やす中、守安社長は「成長」を優先させた節がある。

 「『メルカリ』や『スマートニュース』といったスタートアップ企業が成長する中で、DeNAは新規事業の立ち上げが、うまくできていないという事実がありました。(買収後に)グレーから白にしていかなければいけないと思う一方で、成長も維持しなければならない。スタートアップの良さも残さなければ、当社に買収されずに独自に成長した方がよかった、となりかねない。今思えば、そのバランスの取り方を間違えたというのが、私の反省です」

 「これだけゲーム事業が落ち込んでいる中で、焦りやプレッシャーがないと言えば嘘になります。その中でバランスを失い、やり方が間違っていたことがあったのかもしれません」