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ペルマ売却に未練

 その後、LIXIL社長に就いた瀬戸欣哉氏は「ペルマは何百億円と損を出しかねない。爆弾を抱えているようなもの」と売却を主張。自らがプロ経営者として同氏を招いただけに潮田氏も取締役会の「売却」という総意には従った。ただ、売却交渉過程で担当者に「株式の買い戻し条項はつけられないか」など何度も注文を出していたという。ペルマ売却への未練は相当あったようだ。

 今となっては潮田氏はもう遠慮する必要はない。売却を進めてきた瀬戸氏に引導を渡し、11月1日付でCEOの座を取り戻したからだ。LIXILはペルマの事業を今後も抱え込むことで、19年3月期の純利益が235億円下押しされると説明している。そのため今期の純利益は前期より97%減の15億円にとどまる見込みだ。業績悪化を厭わない決断は創業一族ならではの強いリーダーシップといえなくもない。

 潮田氏はCEOに就任した直後の11月2日に日経ビジネスのインタビューに応じ、瀬戸氏との経営路線の違いについて「捨て石になることも多いが、私は布石を打つのが好き。それを(瀬戸氏に)たたまれてしまった」と答えている。

 これは「今は赤字だが、いずれペルマもものになるはず。それを瀬戸氏に売られてしまった」と解釈することもできる。数十年スパンで物事を考える創業一族的なもののとらえ方と、足元で結果を残さなければいけないサラリーマン経営者の思考回路の違いといってしまえばそれまでだ。

 もっとも、上場会社である以上、「株主」というステークホルダー(利害関係者)の理解を得られないと経営は前に進まない。株主は赤字を垂れ流し続ける子会社を「布石だから」といつまでも見逃し続けてくれる保証はない。

 ペルマをきっちり立て直すか、それができなければやっぱり「捨て石」にするか。潮田氏は早晩、どちらかの決断を迫られるはずだ。

(奥 貴史)

日経ビジネス2018年12月10日号 18ページより目次